“他人の不幸は面白い”と笑う者ばかりでは、ありませんでした。こんな私を以前から見守っていてくれた、お友達が姿を現したのです。
S子ちゃんに振られて間もなく。時々同じ女の子が脇にいるのに気が付きました。(たしか飛び抜けた成績の奴だよな・・・。俺には関係ねーや。)と思っていたある日。目が合った途端、「わん!」と犬の鳴きまねをして笑っていました。(こいつ俺をバカにしてんのか)と思っても、怒る元気が無かったので無視していると。目の前に来て「わん!」と言われたので(煩せー!とばかりに) 「ワン!」と言うと。「やっと返事してくれたー。」と。(俺は、犬かー?!) 彼女は、私がフェアレディZに乗っているのを見てから、1年以上も声をかけられないでいたのが。急に元気が無くなったのを見て心配になって、声をかけたそうです。( これが“春の旅U”の前だったらZの運命も変わっていたかもしれません・・・。)
ハンドルと一緒にもらったクッション。周りの期待?も大きかったのかもしれませんね。



可愛い“茶飲み友達”が増え、年が明けて78年、快調だったZに変化が現れました。


最初に故障したのがブレーキ。
福島へ帰ったついでに定期点検に出そうと思っていた時でした。少し強くブレーキを踏んで止めようとすると。停車直前にハンドルがガクッ!と右に切れる。点検の際に、直して下さいとお願いすると。翌日「ブレーキの異常は、ありませんでした。」と。とりあえず乗ってみると、直っていない。再度説明して修理を依頼すると・・・。翌日、工場長と名乗る人が来て。(このクソガキと言わんばかりに ) 「3人で交代して、駐車場に水まで撒いて試したんだが、何処も悪くない!」と言われ。直せないのでは仕方がないので、M君に相談しようと思い、安全運転で東京へ。

給油の為、いつものスタンドに行くと整備のKさんがいたので、「ブレーキが片利きするから福島で修理に出したら壊れて無いって怒られたー!直さないと怖くて走れないよー!」と、訴えていると。後ろから「直るよー!」と言う声が。振り返ると知らないオジサンが・・・。横にはレーサーのKちゃん。オジサンは「ブレーキの油圧ユニットを、左右一緒に交換すれば直るんだよ。」と。見なくて分かるの?と不思議そうにしていると脇にいたKちゃんが、いつもの笑顔で、(任せておけばいいんだよ。とばかりに) うなずいていました。Kちゃんがそう言うならと。初めて会ったオジサンに車を預けて帰りました。翌日、車を受け取り。さっそく試すと、路面に吸い着くように気持ち良く止まりました。さすがー、Kちゃんのお友達!


それから一ヶ月後、霧の東北自動車道路を走っている時でした。制限速度でも危ないなーと思いながら左カーブに差し掛かった時、霧の中に白い物が動いたのです。反射的に急ブレーキを掛け。白い物体を避けると、横を抜ける時に人?ルームミラーで、道路公団のオジサンと判りました。オジサンは勢い余ってガードレールにぶつかり前のめりになった状態で、手を振って謝まっていました。オジサンを交わした時の距離はドアの脇で2〜3m位だったのです。もし、ブレーキが故障したままだったら・・・きっと恐ろしい事になっていたかもしれません。修理屋さんの腕次第で、一生が変わったら悲しい事ですね。


故障の状況を正確に伝えられなかった理由。
B君の弟に頼まれて、高校の映画研究会の手伝いをした時でした。私の役は、ドラ息子がスポ−ツカーで女子高生をひき逃げするという適役?の、車だけの出演でした。B君の車とのカーチェイス?の後に、ひき逃げの撮影がありました。「急ブレーキをかけて女の子の2〜3m手前で止まって下さい。」という指示でした。低速とはいえ間違いは許されないのでブレーキのポイントを決めてテスト。30km/hからブレーキを、思いっきり踏んで約7m。でもタイヤがロックしない?もう一度試すと原因が判りました。頭では目一杯踏むように命令しても、足が勝手にタイヤをロックさせないように調節していたのです。爪先で踏んではダメだと判り。3度目は土踏まずで踏むとキーッ!と音がして成功。4回目でやっと本番となりました。私は、自分の足がしている事を知らなかったので、修理の際に適切な説明が出来なかったのでした。

M君の教えを受けて、S30(2シーター)とGS30(2/2)を走らせて2年2ヶ月。走行距離は、6万km近くになっていたので、少しはフェアレディZの扱いが上手になっていたのかもしれませんね。